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「自分で何かしたいけど、何をしていいか分からない」

大学卒業後、仕事を転々としていた私は、人生に迷っていました。

途中、海外に「自分探し」の一人旅に行きましたが、結局旅を楽しんだだけ。

もちろん得たものもあります。度胸とか。

サロンを経営していた時に、「何か自分でしてみたい」と言っていたお客様が数人いました。

人生このままじゃ嫌だな、と思っている方は結構いるのだなと。

この記事は私の短い経営歴の話ですが、迷っている方の何かを変えるきっかけになればと思い、語らせていただきます。

また、一人サロンを経営してみたい方へ、経営のヒントをお伝えできればいいなと思います。

サロンを始めたきっかけ

2013年の夏。

2ヶ月の一人旅から帰国してすぐに就いた仕事は、多くの会社経営されている方と奉仕活動をする非営利団体の事務のお仕事でした。

少ない事務員はほとんど女性で、入った時からお局様に「派手な子」と目をつけられ、前任の事務員からは私を排除する計画を企てられたり(結局失敗したようで前任は退職)、別の事務局の事務員さんにイチャモンつけられたり。

幸い、私は仕事のできる女でしたし(自分で言う)、一緒に仕事をしていた社長さんたちに信頼してもらえてたので、なんとか続けていました。

何より仕事自体は大変でしたが楽しかったので、その部分は我慢していました。

ただ私の場合、「我慢」は長くは続きません。

その一部の事務員たちのおかげで、「辞めたい」と言う気持ちは加速していたと思います。

多くの社長さんと仕事したり交流していく中で、私は大学時代に漠然と「社長になりたい」と思ったことを思い出しました。

人間関係に疲れていましたので、「一人でやりたい」にこだわりました。

自分で何かしたい。何かヒントはないか。

探り続けましたが踏ん切りがつかない日々が続きます。

その仕事に就いて1年くらい経った頃、定期的に会っていた仲のいい友人が私の人生を変えました。

私の中でなんとなく「一人でサロンみたいなのできないかなあ」と方向性が決まっていたので、その友人にポロっと私の希望を話しました。

彼女は当時ブラジリアンワックスサロンに通っていました。

そのサロンのオーナー(施術者)が、私みたいな人だと話してくれたのです。

私はブラジリアンワックスについて、海外ドラマ「Sex and the City」のシーンで見たことあるくらいで、どんなものかほとんど分かっていませんでした。

その夜は眠れず、布団に入った後もスマホでブラジリアンワックスについて調べていました。

そして、翌日にブラジリアンワックスの講習を申し込みました。

美容業界に飛び込むのは初めて。

でも、私の中で「これだ!」と思った瞬間でした。

私の一人サロン経営について

ブラジリアンワックスの講習を受けたのは、2014年9月。

当時まだ会社員として働いていましたが、有給を取って3日間の講習を受けました。

講習を受けた翌日、仕事が終わったその足で不動産屋へ行き、サロン使用できるマンションの一室を契約。

そして2014年10月から2019年12月末の5年間、女性専用ブラジリアンワックスのサロンを経営しました。

最初の半年間の平日は会社員として勤務、平日の夜と休日にサロンワーク。

サロンスタッフは、私一人のいわゆる「一人サロン」。

サロンオーナー兼施術者です。

途中、男性向けのサロンも開業し、2年間は2つのサロンを経営しました。

一人でどうやって2店舗も経営するのか。

人を雇った方がいいのではないか?

と周りから(特に仲良くもないちょっと知り合い程度の人から)色々言われましたが、私は「一人で」に拘りました。

サロンを辞めた今振り返ると、最後は利益を残して終われたし、トータルでは成功と言ってもいいのかなと思います。

一人サロンを始めるための準備・注意点

私が一人サロンを始めるためにした準備や注意したことについて、お話します。

初期投資にお金をかけすぎない

サロンは賃貸のワンルームマンションを借りたので、内装にほとんどお金をかけていません。

そのマンションは事務所や店舗も入っていて、マンション入口玄関に小さな看板もつけてくれるところでした。

私が借りた部屋のフロア全4室は、全て一人サロン(ネイルサロン・リラクゼーションサロン・足つぼサロン)をされてる方が借りていました。

賃貸契約は、敷金・礼金・2ヶ月分の家賃、手数料等合わせて約30万円。(火災保険・テナント保険は別途加入)

古めの物件だったのですが、室内はリノベーションされていました。

家賃や礼金も高すぎず、一人サロンを始めるにはぴったりの物件でした。

内装工事はしないで、家具などでサロンを作り、費用を最大限に抑えシンプルな内装にしました。

その他、ワックスの道具などを揃えて、全ての初期費用は60万円かからないくらいでした。

サロンに置いていた家具など
施術ベッド(約2万円)
ワックス道具を入れるワゴン(約1万円)
お客様用のチェアやソファ(約2万円)
収納付き全身鏡(約5千円)
ワックスを温める電子レンジ(約5千円)
掃除道具(約3千円)
洗濯機(約5万円)や物干し(約3千円)
デスク&チェア(約2万円)
ワックスや木製スパチュラ、紙シーツ等の消耗品(約5万円)
タオル大・小(約2万円)
ワックスウォーマー(約5千円)
ハイフルクエンシー(約3万円)
LEDライト付き拡大鏡(約2万円)
レジ金庫(約5千円) etc...

最低3ヶ月、できれば半年分の生活費を確保しておく

私はサロンを開業して半年間、フルタイム会社員としても働いていたので、毎月のお給料が出る分とても助かりました。

もし会社員を辞めてサロンをオープンしていたら、3ヶ月分の生活費では少し苦しかったと思います。

余裕を持って長い期間分の生活費をキープしておくことをお勧めします。

メニューの価格設定はよく考えて

講習を受けた際の講師からのアドバイスで

「メニューの価格設定はよく考えてね」

と言われていました。

最初に安く設定しすぎると、後々値上げしたくてもお客さんがついた後に値上げしにくいとのことでした。

ビキニラインのブラジリアンワックスは初回価格を設定した後、それ以降の施術は期間によって500円ずつ価格を変えていました。

その界隈でも気軽に通える価格だったようで、半年でお客さんが多くつくようになりました。

経営していた5年間、価格は変えずに営業しました。

後に男性向けのサロンを立ち上げた時は、女性向けサロンより少し高めの設定にしています。

それでもライバルサロンと比較して、メニューによって1000~2000円安くなるようにしました。

価格重視するお客様はそれなりにいますので、地域の相場やライバルサロンをチェックするようにしましょう。

高く設定する場合は、その分サービスをプラスするなど工夫して設定するといいです。

保険に入る

エステサロンをする方は、必ずエステサロン向けの保険に入るべきです。

施術や機械の使用ミスなどでやお客様に何か怪我をさせてしまう危険や、施術以外でもサロン内で危険な目に合わせてしまう可能性もあります。

年間2万円くらいなので、必ず保険に入りましょう。

広告の契約について

美容系の広告といえば、ホットペッパービューティー(以下、HPB)。

地域によって広告掲載料金が異なります。

都市部ほど料金が高額で、京都もしかり。

私は最初の数年だけと決めて契約しました。

結局3年間掲載し、1-2年目はそれなりのプランを契約、3年目は一番安いプラン、4年目は料金のかからないプラン(最初から料金のかからないプランは契約できません)、最後の5年目は契約しませんでした。

数年だけの契約と決めてたのは、HPBに依存しないようにしたかったためです。

契約している間はHPBの広告力を利用し、HPBからの新規のお客様には次回来店以降、サロンのホームページ経由予約だとHPB予約より安く施術が受けられるように設定。

サロンのホームページにアクセスしてもらうことで、サイトを強くするようにしました。

私はサロンのホームページを作りましたが、ホームページを作らないのであれば、HPBをホームページ代わりにずっと利用するのもいいと思います。

高い広告料金に納得せざるを得ない宣伝力とSEOですしね。

サロンワークで失敗したこと

失敗といえば、結局お金関係です。

世間知らずなとこもあったし、周りに同じ業界で相談する人がいればまた違ったのかな...

ホームページ制作

今であればアメブロで簡単にホームページが作れたりするし、インスタを宣伝・ホームページ代わりにしているサロンもあるし、ホームページを作らないといけない!ということはありませんよね。

2014年当時、企業やお店にちゃんとしたホームページがあって当たり前っていう印象があったような気がします。

私もその頭に縛られ、ホームページを作りたいなあと思ってる時に、悪魔のささやきが。

ホームページを作りましょうか?のセールスを招き入れてしまいました。

毎月の支払いが小さいということもあり、こんなものなのかなと契約してしまったのです。

トータルかかったホームページ制作料は、200万円以上。

ホームページ制作でこの価格はあり得ません。

大きな金額を払っているにも関わらず、出来上がったホームページは私でも作れただろう出来、納品した後はほったらかしでサポートも充実せず。

結局その会社は大きな会社に乗っ取られ、担当者も外れ、余計サポートが乏しくなりました。

私はこの一件があったので、サロンが暇な時間を利用して、独学でホームページやブログを作る方法を勉強していました。

レンタルサーバーはロリポップ!を契約し、独自ドメインをお名前.comで取得。

そしてこのブログができました。

 

大企業のような立派なホームページは作れませんが、2店舗目は同じようにWordPressを使って自分でホームページを作りました。

これなら自分で様々な変更もできるし、一人サロンならこのくらいの規模で十分だったのです。

大体、セールスしてくるものにいいものなんてありません。

自分で情報を集めて、調べて、こちらから申し込みにいくべきだったのです。

何にもわからず契約してしまい、高い勉強代を支払いました。

お店をしているとセールスの電話はいっぱい来ます。

それ以降は、セールス電話は全てお断りするようになりました。

脱毛機購入

サロンを始めて1年経った時、それなりにお客様に来店してもらっていましたが、少し迷いもありました。

ブラジリアンワックス需要は、少し波があります。

2-3月は大学生の夏休み、旅行前の学生さんが多く来店してくれていました。

GW前や暖かくなってくるとお客様が増えていき、夏7-8月になると夏休みや水着シーズンで繁忙期となります。

秋になると客足は遠のき、年末になると冬休みの旅行前や綺麗にして新年を迎えたいということで夏並みの繁忙期が再び到来します。

そして1月は波が引いて、びっくりするほどの閑散期です。

私は、1年で何回か来る閑散期に少し悩んでしまったのです。

そこで考えたのが、エステ脱毛機を導入するかどうか。

数ヶ月考えた後、2年目に脱毛機を購入しました。

もちろん、そんなお金はなかったので日本政策金融公庫、「こっきん」から融資をお願いすることにしました。

日本政策金融公庫の支店へ相談しに行き、事業計画書(脱毛機の見積書も添付)を書いて提出。

機械自体は200万円程度でしたが、ホームページ支払いの件もあり、300万円の融資を受けました。

脱毛機には、それなりに活躍してもらいました。

ただ、ブラジリアンワックス需要も高まっていたので、脱毛機の借金はほとんどブラジリアンワックスで返したと言っても過言ではありません。

ブラジリアンワックスサロンをしているのだから、ブレずにブラジリアンワックスのみしておけばよかったと後悔もしました。

しかし、エステ脱毛で来店した後にブラジリアンワックスに流れたお客様も多くいましたので、これはこれでよかったのかな。

ホームページの件も脱毛機の件も、借金という大きなものを背負ってしまいましたが、サロンを辞める直前に一括返済しています。

全て返済しても利益を残して終われたので、終わり良ければ全てよし。

今後また何か始める時に、この失敗を活かせられたらと思います。

一人サロンを成功させるには?

一人サロンを成功させるためのポイントについてお話したいと思います。

ターゲットを絞り、固定客を掴む

まず、サロンワークは接客業です。

やはり、お客様に気分良く過ごしてもらうために、お客様の立場になってサロンを作り上げることが大切です。

友人や家族等にお客さんになってもらいアドバイスをもらったりシミュレーションして、お客様を迎える準備をしましょう。

また、営業していく上でお客様の動きを見て不便なことはないか、直接聞いてもいいので、少しずつ改善していくといいです。

サロンを開く際、ターゲットとなるお客様像をはっきりさせておくのも重要です。

正直、私はサロンを開いた際、ここが弱かったと思います。

サロンは、オフィス街が近いこともあったので、ざっくり「OLさん向けサロン」としかターゲットとして決めていませんでした。

実際にOLさんが多かったのは事実です。

ただ、私がイメージしていた年齢層より高かったのです。

そのようなお客様がリラックスして施術を受けられるように、雰囲気や接客は「落ち着き」を意識しました。

また、京都という土地柄もあり、私のサロンには外国人のお客様が多く来店してくれていました。

京都に住んでいる方もいたり、旅行で京都に訪れたついでになど...

外国でのワックス施術料に比べて、日本の料金は少し高い印象を持たれているようでしたので、私のサロンの価格は外国の方でも納得いただけたようです。

私は英語が堪能ではないのですが、英文科を卒業してますし旅行等で英語にはよく触れていたので、外国人のお客様との交流に困ることはほとんどありませんでした。

2年目からは外国の方でも気軽に来店できるように、ホームページに英語の案内も作り、実際たくさんの外国人のお客様に来店していただきました。

ターゲットのお客様像をイメージしつつ、実際に来店されるお客様が満足していただけるようなサロン作りをしましょう。

お金の管理

固定費、消耗品、保険、借金返済、生活費...

サロンに限らず、経営においてお金と向き合うことは大事です。

収入をしっかり記録して、支出を把握する。

たまにある支払い(保険料や家賃更新料など)も忘れないようにしましょう。

また、何かあった時に備えて、蓄えるのも大事です。

自分で商売をしていた父からも、「経営状態が良い時ほど、蓄えておけ」と言われていました。

サロン用の貯蓄、自分の貯金。

備えあれば憂いなし。

後悔してるのは、余剰資金を運用しなかったことです。

今でこそ投資ブームですが、iDecoや投資信託など、利益を少しでも投資に回しておけばよかったと後悔してます。

閑散期を恐れない

閑散期を恐れて、脱毛機という大きな買い物をしてしまった私。

1ヶ月の収支を気にするのではなく、1年を通しての収支を見るべきでした。

閑散期を楽しむ余裕ができた4年目からは、旅行に行ったり、普段会えない友人と食事に行ったりしてました。

SNSを活用する

今でこそサロンワークしている方は、SNSを使いこなす人が多いですが、私は全然活用できていませんでした。

無料でスタートできるので、とても気軽に始められます。

2店舗目ではTwitterを使っていましたが、検索にも引っかかりやすかったので、集客につながったと思います。

Instagramを上手に使っているサロンを見ていると、SNSからの集客も多いことが分かります。

是非、活用してみてください。

確定申告(個人事業主)

サロンワークに限らず、経営しているのなら確定申告は必須です。

確定申告のためにマイナンバーカードも必要です。

マイナンバーカードがなくても確定申告はできますが、マイナンバーの記載が義務付けられていますので持っておく方がいいです。

私は個人事業主としてサロンワークしていたので、1年間(1/1~12/31)の収支を翌年2-3月の確定申告期間に提出していました。

最初の1年目は青色申告をしましたが、提出時に税務署の方から「白色申告でも大丈夫ですよ」と言われたので、以降はe-Taxで白色申告をしています。

確定申告は所定の用紙が送られてきますが、e-Taxの方が便利です。

収入をきちんと記録し、サロン関係の買い物ではレシートや領収書をきちんともらいます。

収支は、エクセルにまとめていました。

確定申告後も領収書やレシートの保管義務があるので、サロンを辞めた今でも保存しています。
(白色申告は5年間の保管)

確定申告は難しくありません。

有名な弥生シリーズでは、個人の確定申告に便利なクラウド会計ソフトがあります。

青色申告であればやよいの青色申告オンライン、白色申告であればやよいの白色申告オンラインと、確定申告の方法によって分かれているのはいいですよね。



スマホの家計簿アプリで有名なマネーフォワードの確定申告ソフトもありますので、アプリを使っている方はこちらがおすすめです。



コロナ禍においての経営

私が経営していたサロンは、後継者に事業譲渡し、現在も営業してしています。

私は2019年の結婚と2020年からの移住(夫の転職のため)を機に、2019年の年末でサロンを閉店することを決めていました。

2019年の3月頃から、来店してくださったお客様にその旨をお伝えしていました。

その中で、定期的に来店してくださったお客様が「サロンを買い取りたい」と申し出てくださったのです。

彼女は当時専業主婦でしたが、私のように何かサロンをしてみたいと話してくれていました。

美容やマッサージが好きで、ブラジリアンワックスもどういうものか知っている、そして人当たりもいい方です。

ただ、ワックスの技術はありませんでした。

今後もサロンに通ってくれるお客様のためにも、技術はきちんと学んでもらいたいと思いました。

私には講師資格がなく、技術やサロンワーク(衛生面や経営について)を教えることができても、施術者と証明することができないため、彼女に講習を受けてもらうことにしました。

その年の夏に、彼女は講習を受けて技術者の証明書を取得。

秋以降は私のサロンでお客様にモデルになってもらい、接客から施術までを練習し学んでもらいました。

2019年の年末の営業を最後に、彼女にサロンを譲渡しました。

彼女の素晴らしい行動力。

サロンを始めた時の自分自身と重ね合わせ、しみじみと振り返りました。

以降、求められた時に助言していましたが、彼女のサロンなので彼女自身で判断して経営拡大しています。

コロナの時期も諦めず、私とは違う経営の仕方で彼女のサロンは現在も営業しています。

まとめ

まとめ
一人サロンを始めるための準備・注意点
・初期投資にお金をかけすぎない
・最低3ヶ月、できれば半年分の生活費を確保しておく
・メニューの価格設定はよく考えて
・保険に入る
・広告を出しすぎない
一人サロンを成功させるには?
・ターゲットを絞り、固定客を掴む
・お金の管理はしっかり
・閑散期を恐れない
・SNSを活用する
確定申告は必ずしましょう!

長くなりましたが、読んでくださりありがとうございます。

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